鉱石ランプ
-2008.08.17-
◆Royal Egg
◆時計塔と白夜の鍵師の物語



◆ 灯記08hd-01: Royal Egg◆
不思議なる卵。鉱石ランプ商会の作り出しましたる卵は
普通の卵とは異なっておりまする。





◆ 灯記08hd-01: Royal Egg◆
ラベルと本文の柄は瀬水が作りました。
箱と中身は月が作業しました。





◆ 灯記08hd-01: Royal Egg◆
1色目。乳白。ホワイトオパアル色に輝く卵です。





◆ 灯記08hd-01: Royal Egg◆
2色目。透明度高く、こちらはウォーターオパアル色に輝く卵です。





◆ 灯記08hd-01: Royal Egg◆
とても深く濃い、うっとりするような焦茶色の表紙。
不思議な卵の解説書です。





◆ 灯記08hd-01: Royal Egg◆
卵から孵せる不思議ないきものたちの、孵し方を瀬水が。
動物の図版は月遠が。

全部で、7色あります。
黒――猫のようなもの。
薄桃――うさぎのようなもの。
金――狐のようなもの。 赤――龍のようなもの。
翡翠――小鳥のようなもの。
水色――魚のようなもの。
紫――角のあるもの。
青――真っ白い狼のようなもの。
「――の、ようなもの」たちです。かわいらしいです。







鉱石ランプ
瀬水いう儀個人作品
-2008.08.17-




◆ is01: 時計塔と白夜の鍵師の物語◆
物語です。
星を歯車に貼り、シーリングワックス。
封蝋はやはりときめきます。





◆ is01: 時計塔と白夜の鍵師の物語◆
ポストカードとセットです。





◆ is01: 時計塔と白夜の鍵師の物語◆
袋を、鍵型で封じてみました。鍵師の物語でございます故に。




少しご紹介を。

 世界中の鍵職人から選りすぐられた鍵師の中でも、『白夜』の称号を持つ鍵師は、ひとりだけです。 他の鍵師は、それぞれの塔に応じた名前で呼ばれます。  一時の時計塔の鍵師は、一時の鍵師。  十二時の時計塔の鍵師は、十二時の鍵師。  鍵師は塔に選ばれるのですから、一時から十二時の時計塔に合わせて、鍵師はいつの世にも十二人 までと決まっているのです。ただひとつの例外をのぞいては。  十年で現れるときも二百年経っても現れないときもありますが、時計塔は前ぶれもなく、ある日突 然、街に出現します。数はきっかり十二本。  時計塔が出現し、時間が止まってしまった街の運命はふたつにひとつです。  鍵師が鍵造りに成功して、街の人々が助かるか。  鍵師が失敗するか鍵師が見つからなくて、街の時間が二度と動き出さないか。  時計塔の時計は、街の心臓なのです。街にも寿命があるのだから、仕方がありません。生きながら えさせるべく、ゼンマイを巻いて歯車を動かしてやらねばならないのです。  しかし困ったことに、時計塔にはゼンマイを巻くための鍵がありません。  巨人が作ったほど大きな時計の盤面に開いた、小さな小さな鍵穴。その穴に差し込まれるべきは、 赤子の指にも満たぬほどの繊細な鍵です。  ゼンマイを巻いて欲しい時計塔は、自分の鍵穴にぴったり合う鍵を造ってもらうために、すぐれた 鍵職人に呼びかけます。  呼びかけに応えた鍵職人は鍵師として認定され、対である時計塔に合わせて鍵を造らねばなりませ ん。  時計塔は時間を指す短針一本だけを持っています。短針がぐるりと一周してしまえば、街の運命は おしまい。  さあ鍵師は時間との戦いです。  何しろ街と、街の人々と、自分のいのちがかかっています。  塔に呼ばれながらも、鍵造りに失敗した鍵師は、塔と街と運命をともにするのです。それが怖くて、 塔に呼ばれても逃げ出してしまう鍵職人もいます。けれどたいがいの鍵師は、誇り高き鍵職人ですか ら、一世一代の作品を捧げようと、自分のすべてを注ぎ込んで鍵を造ります。  鍵師を応援するのは、鍵師管理人と呼ばれる人々です。  作業に没頭すると寝食を忘れてしまうような鍵職人たちなので、彼らの食事の面倒を見たり、体調 を管理してあげないと、鍵が出来あがる前に倒れてしまいます。鍵師管理人は、時計塔が現れなかっ た街の人々が、鍵師を手助けしようと知恵を絞った役割なのです。  もしかしたら、次は自分の街に塔が現れるのかも知れない――そう考えたら、誰だってじっとして いられませんものね。  時計塔の出現周期はまちまちなので、人々は塔のことを言い伝え、塔があらわれたときの対策を記 録します。管理人の役割も、忘れてしまわないように料理人たちの間で語り継がれます。  記録には残っているけれど、滅多に現れないので、知っている人が殆どいない塔があります。  十三番目の時計塔です。  他の時計塔は『何時の塔』と決まっているのに、十三番目の塔には、十三の時刻が文字盤にありま せん。短針もありません。いつ崩壊するかわからない、とても危険で、鍵造りが難しい塔なのです。  この時計塔に選ばれてしまった鍵師が、『白夜』の鍵師です。  遠い遠い人も住めないほど寒くて遠い北の地には、太陽が地平線のすぐ上にあって、いつまでも沈 まない時期があるそうです。夜になっても太陽がずっと照らしているので、白い夜と呼ばれているそ うです。  夜も昼もなく鍵を造らなければならない十三番目の鍵師は、眠らない太陽になぞらえて、白夜の鍵 師との称号を授けられたのです。